小論文が必要な受験生必見!小論文のポイント・基本をまとめてみた

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じゅんじ@元予備校講師

月に最大20万人が訪問する関西最大級の大学受験メディア「関関同立net」の管理人。 大阪梅田在住の20代。 職歴はみずほ証券→三井住友海上→予備校講師→サイト管理人 予備校講師として得た知識を当サイトで発信中。

管理人のじゅんじ(@kansaijuken)です!

2020年に大学受験の改革が起こり、ますます小論文の重要性が増してきています。
今回の記事では、小論文が必要な受験生のために、小論文のポイント・基本をまとめました。
内容が5000字を超えていますので、濃い内容になっています。
ぜひ、何度も読み直しをして、小論文受験に役立ててください。

■目次

小論文を学ぶ前に知っておいてほしいこと
小論文の基本的な流れ
小論文で絶対にしてはいけないこと
小論文の細かい注意点

■小論文を学ぶ前に知っておいてほしいこと

小論文を書くにあたって、まず大切なことは、小論文という試験が一体どのような力を見られる試験かということを知っておくことです。
前提をしっかりと頭に置いておくことによって、当日の試験で予想外の質問が出た際にも臨機応変に対応することができます。
まずは小論文の定義を押さえておきましょう。

小論文とは、「自分の意見を根拠と共に述べた文章」のこと

「小論文とは何か?」と聞くと、ある程度知識のある受験生であれば、「自分の意見を述べた文章」と答えてくれると思います。
しかしそれだけでは答えとして十分ではありません。
「自分の意見を述べる」というだけであれば、普通の作文にも要求されるからです
例えば、「今日は楽しかった」というのも意見と言えば意見です。
小論文で重要なことは、「根拠と共に」意見を述べることです。
ここで冒頭の話題に戻りますが、小論文で見られている能力というのは、
「自分の意見を順序立てて、きっちりと論理的に述べる力」です。
それゆえに、自分の主観的な見解には、全て説明責任が生じます。
理由付けの上手さが問われていると言い換えてもいいかもしれません。

まずこれらの前提を徹底的に意識してください。
誤解されがちですが、小論文というものは特に突飛で斬新な発想能力の有無を問われているわけではないのです。
別に意見は月並みでおもしろくなくとも、きっちりとした理由付けと文章構成ができていれば、十分合格点を取ることができます。
ただし芸術系の大学等は採点基準が不透明な部分も多く、この限りではありません。
それでは、小論文の基本的な書き方の流れについて書いていきます。

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■小論文の基本的な流れ

小論文を書くにあたっては、以下の流れを常に意識して下さい。

①要約(設問に指示がある場合のみ)
↓ 
②意見の提示
↓ 
③理由・根拠
↓ 
④まとめ 

まず①の要約についてですが、これは毎回必要とは限りません。
設問に「本文を要約したうえで意見を述べよ」という指示があった場合のみ要約を行ってから書き出すようにしてください。
あくまで主役は意見であるため、要約に字数を割き過ぎないように注意してください。

次に、②の意見ですが、小論文では、意見選びがとても重要になってきます。
初めに伝えたように、小論文とは、「理由付けの上手さ」を問われる試験です。
つまりどれだけおもしろい意見を書けていてもそれに対する理由付けが不十分であれば、点数はほとんどもらえません。
そこで、意見選びの基準を、「その意見が面白いかどうか」ではなく、「その意見に適切な理由付けがしやすいかどうか」にするようにすると安定した構成の小論文が書きやすくなるでしょう。
続いて③の「理由・根拠」ですが、もちろんここに一番比重を割かなくてはなりません。
何度もいうように、理由付けの上手さが小論文で見られている能力だからです。
この理由付けの場面において一点、非常に注意して欲しい点は「定義づけ」です。
次の例文を見てみてください。

問題
小学校から英語教育を導入することについて、あなたの意見を述べなさい。

解答
私は、小学校のうちから英語教育を導入していくことに賛成である。なぜなら、早いうちから英語を学んでおくことによって、より高い英語力を身につけることができるからだ。「三歳児教育」という言葉があるように、小さいうちに学んだことほど、その子供たちの血肉となる。本物の英語力を身につけるには小学校から英語を学ばせることさえも遅いくらいだ。子供たちに早期から英語を学ばせる世間の流れを、もっと推進していくべきであろう。

この例文は塾で実際に塾生が私に持ってきた小論文を大約したものです。
この小論文、問題点はいくつかありますが、一番大きな問題点は「英語教育を早期から導入すべき」という意見の理由付けが、「その方が速く英語をマスターできるから」の一点に集約されてしまっているのですが「なぜ英語をマスターすることがよいことなのか」という「英語をマスターするとはどういうことか」の定義づけが抜け落ちてしまっている点です。
これでは、英語を早くマスターできることは納得できても、なぜそれが良いことであるといえるのかがわかりません。
多くの生徒さんは「英語ができるのはいいことに決まっている」と言うかもしれません。
しかしそれでは小論文ではないのです。
たとえば、自分が当たり前と思っていることについて、全て説明を付与せずに進めてしまうと、結局理由付けなんてする部分はほとんどなくなってしまいます。
特に、今回の意見に関して言えば、日本人の日本語力の低下が叫ばれて久しい現在では、「英語なんかやってる暇があったらまず日本語をやれ」という反論もありうるでしょう。
では、この例文をよくするにはどうすればいいのか?次の例文を見てください。

問題
小学校から英語教育を導入することについて、あなたの意見を述べなさい。

解答
私は、小学校のうちから英語教育を導入していくことに賛成である。 なぜなら、早いうちから英語を学んでおくことによって、より高い英語力を身につけることができるからだ。 現在日本には大勢の外国人の方がいる。 英語を身につけるということは、その人たちとのコミュニケーションの手段を身につけることであり、そうした様々な人との対話は自分自身を豊かにしてくれる。 「三歳児教育」という言葉があるように、小さいうちに学んだことほど、その子供たちの血肉となる。 本物の英語力を身につけるには小学校から英語を学ばせることさえも遅いくらいだ。 子供たちに早期から英語を学ばせる世間の流れを、もっと推進していくべきであろう。

今回の解答のように「英語を学ぶという事はこういうことだ」という定義づけをしっかりと行うだけで、小論文としてはかなり評価が上がるでしょう。
肝心の理由付けが主観的なものに終始すれば、得点は伸びません。
主観的な理由にならないようにしっかりと定義づけを行いましょう。

理由付けにおいて特に重要な点は以上になります。

さて、それでは最後のまとめの部分ですが、ここはほとんど②で提示した意見の重複で問題ありません。
ただ、まったく同じ表現で重複すると非常に恰好が悪いので、ある程度は言い換えましょう。
また、最後のまとめでの注意点としては、多くの生徒が急に最後の最後に新しい意見や解決策を出してくることがあります。
それらの意見や解決策が、今までの内容をふまえたものになっていればいいのですが、それほどふまえていなかったとすれば、それは「理由付けのない主観的な意見」ということになり大幅に減点される可能性があります。
最後に解決策や新たな意見が出ている場合は、それらが「今までの小論文の内容を読めば導き出せる当然の帰結」になっているかどうかをしっかりと確認しましょう。

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■小論文で絶対にしてはいけないこと

次に、小論文でやってはいけないことをまとめておきます。
絶対にしてはいけない三点です。

①制限字数を無視する。
②意見とまとめに一貫性を持たせない。
③矛盾を作る。 

この三点は絶対にしてはいけません。
特に①に関しては、どれだけ内容がよくてもやってしまった時点で0点になります。
「字数制限の無視なんて誰もしないだろう」と思うかもしれませんが、「600字以内」の小論文で800字詰めの原稿用紙を渡されると意外とやってしまいます。
なお、改行によってあまったマスも一字と数える大学も存在します。
なので、たとえば600字以内なら、何があっても600字のラインを超えてはいけません。
「空きマスが30字分あるから、30字までははみ出てもいい」というような考え方はやめさせましょう。
また、制限字数に対して、字数が余りすぎるのももちろん問題です。
そもそも「字数が余る」という時点で生徒さんが小論文の書き方をわかっていない証拠といえます。
きちんと理由付けをする箇所がわかっていれば、600字、800字という制限字数はむしろ少なく感じるはずです。
それに、大学によっては、「制限字数に対してどれほど字数が足りていないか」を基準に減点してくるところも存在します。
それゆえ、必ず制限字数の90%は書くようにしましょう。
なお、「以内」の場合は絶対に制限を超えてはいけませんが、「程度」であれば、1割くらいまでなら字数を超えて構いません。

・「以内」・・・制限字数の90%以上100%以下。
・「程度」・・・制限字数の90%以上110%以下。

続いて、②の一貫性の欠如ですが、これはよく初心者が陥ってしまいがちな間違いです。
冒頭の意見と最後のまとめの間に一貫性があるか、途中で趣旨がかわってしまっていないかなどは注意深く見てあげてください。
最後の③については、小論文が割に得意な生徒さんであっても、細かいところでナチュラルに矛盾を作ってしまうことがあります。
たとえば、課題文で区別して使われている二つの用語(「仕事」と「稼ぎ」など)を、知らず知らずのうちに混同して使っていたりすることなどがよくありますので気をつけてください。
②③の間違いは、ひとつ発見されるだけで大幅な減点を受けます。
入試というのは当然、受験生を落とすために実施されている試験です。
減点できそうなところがあれば、採点官は嬉々として減点をしてきます。

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■小論文の細かい注意点

次は細かい注意点をまとめていきます。
4点あります。

①疑問提起(~とはなんだろうか)
②「ですます調」
③誤字・脱字
④一文が長すぎる  

①の疑問提起に関しては、原則的にダメというルールがあるわけではないのですが、疑問提起を嫌う採点官(大学教授)が多いため、やらない方が無難です。
「高校生(浪人生)の分際で誰に向かって疑問提起をしているのだ?」とプライドを傷つけられた解釈する人もいるそうです。減点される可能性のある行動は、可能な限り避けましょう。
次に②の「ですます調」についてですが、これも原則的にダメというルールがあるわけではないのですが、しない方が無難です。
理由としては、「ですます調」を正確に使って小論文を書くが難しい、単純に「です」と「ます」の分で字数が嵩むという二点があげられます。
たとえば、「ですます調」の文章の中に、急に「である調」の文が入った場合、それが適切な場面(たとえば話が本題に差し掛かり、内容に熱が入ってくる場面など)であれば問題ありませんが、タイミングを間違えるととても頭が悪そうに見えます。
それならはじめから「である調」に統一した方が無難でしょう。
最後、③の誤字脱字ですが、基本的に意見の本筋に関わる理由部分等でやってしまわない限りはそこまで大きな減点にはなりません。
しかし、やはり減点は減点ですので、可能な限りなくしたいところです。
そこでポイントとしては、「自信のない漢字であれば書かさないこと」が挙げられます。
かといって、普通なら漢字で書くべき言葉を平仮名で書くのは減点対象です。
たとえば、「たくさん」を「沢山」と書く必要は別にありませんが、「進歩」を「しんぽ」と書くのは問題があるということです。
なので、自信のない漢字があれば、その言葉を使うのをやめて、別の言葉で書くようにしましょう。
たとえば「困難」と書きたいけれども、「難」という漢字がわからないのであれば、「容易ではない」や「簡単でない」など、自分が漢字で書ける言葉に言い換えて書くようにします。
地味ですが重要です。
最後に④ですが、これも原則的にダメだというルールはありません。
しかし、一文が長くなれば長くなるほど、生徒さん自身が主述関係等をコントロールしきれなくなり、「てにをは」がおかしくなってしまう確率があがります。そ
れゆえ、一文は極力簡潔にし、文法的なミスがないように常に見直しをする習慣をつけましょう。

慶應義塾大学や高知大学などの難解な小論文でない限り、以上の点を守れば、合格レベルの小論文を書くことができるはずです。
みなさん頑張ってください!!