早慶近というフレーズに込められた思いについて

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じゅんじ@元予備校講師

月に最大20万人が訪問する関西最大級の大学受験メディア「関関同立net」の管理人。 大阪梅田在住の20代。 職歴はみずほ証券→三井住友海上→予備校講師→サイト管理人 予備校講師として得た知識を当サイトで発信中。

予備校講師をしている管理人のじゅんじ(@kansaijuken)です!

1月3日(火)の朝刊に「早慶近」というフレーズをでかでかと載せたページがありました。
近畿大学の公式Twitterにそのページの画像があります。

近畿大学は2016年度大学入試で3年連続、志願者数日本一となりました。

決して全国レベルに名が通った大学でなかった近畿大学。
近年、爆発的な人気を誇っております。

実際、近畿大学はどのように変わったのでしょうか。
なぜ、このような広告を載せたのでしょうか。

■目次

近大は世界の大学ランキングの常連校
偏差値でのイメージが悪すぎる
イメージ戦略が上手い

■近大は世界大学ランキングの常連校

まず、こちらの大学世界ランキングをご覧ください。

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「The Times Higher Education World University Rankings 2016-2017」より抜粋

800位までのランキングの中では、近大は関西の私立大学で唯一のランクインです。
名だたる有名大学と同じように近畿大学の名がそこにはあるのです。

関西の有名国公立大学である神戸大学や大阪市立大学は800位以内にランクインしてありますが、関関同立の名前はありません。
世界ランキングの順位は適当に決められるようなものではなく、論文被引用数や産業界からの収入等によって評価されています。
関関同立に、偏差値ではまだ負けていますが、実際に社会的な影響力が強いのは近畿大学ではないでしょうか。

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■偏差値を決めるのは大学の実績ではなく受験生のイメージ

近大は偏差値でのイメージが悪すぎますね。
所詮、偏差値なんてのは模試のデータをもとに決めているだけなのに、重要視されがちです。
なので、模試を受ける受験生の中での大学へのイメージが変われば、それに伴って偏差値は簡単に変わります。
なので、受験生の中での大学へのイメージが偏差値を決めているのです。
しかし、その受験生の中での大学へのイメージを変えることがとても難しいですね。

高校生たちにとって、大学へのイメージは、学校の先生や保護者から教わるものです。
しかし、学校の先生は、多くの大学がどんな大学なのかを知りません。
保護者なんて特にそうです。
しかし、受験生の時期になると、どの大学を目指すべきか、進学すべきなのかを決めていかなければなりません。
だから、多くの大人は昔からの習慣で、「旧帝大」「早慶上智」「MARCH」「関関同立」「日東駒専」「産近甲龍」などという、それこそいつの時代やねん!と思う昭和中期のころから使われている通称をいまだに用いて大学の順位を教えているのです。

昭和の時代から現代にかけて、世界は急激に変化を遂げてきたのも関わらず、教育機関の順位が変わっていないなんておかしな話です。
しかし、今の高校生の間でもこれらの通称はいまだに当然のように使われいます。
なので、予備校が打ち出す偏差値での順位を見ると、いまだにこの通称の枠を入れ替えるような大学の存在はありません。
とても悪しき習慣であり、旧態依然の業界です。

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■近大は関関同立を越せる!

大学にとって、イメージ戦略がかなり大事なのは先述したとおりです。
そして、近畿大学は本当に上手にイメージ戦略をしています。
近大マグロやAmazonとの提携、AI導入、SNSでの広報など、他の大学とは比べ物にならなく挑戦的でアグレッシブな活動も行います。
その結果、産近甲龍の中で唯一、近畿大学は偏差値を伸ばしています。
しかし、関関同立にはまだまだ敵わないのが現状です。
近畿大学は大学の実績は充分だしているにも関わらず、「関関同立」「産近甲龍」という古くからある通称のせいで、いつまでたっても近大が関関同立を抜かすことはできていないんです。

なので、今回新聞記事広告で、「早慶近」といういかにも通称を信じ切っている人たちに叩かれそうな総称を使ってでも、古い総称に対してのイメージを変えたかったんじゃないでしょうか。
さすがに、この総称を浸透させようなんて近畿大学側も思っていないはずです。
むしろ、総称の無意味さを伝え、世界基準で大学を選ぶ必要性を受験生に説きたかったのでしょう。

近畿大学と関西大学を比べた場合、関西大学には受かったが近畿大学には落ちたなんて受験生はざらにいます。
2つの大学は入学試験問題の傾向が全く別物なので、一概にはどっちのほうが難しいというのは比べるのは難しいのですが、近畿大学のほうがしっかりとした学力を見ている問題を作っているようにも感じます。(悪問もまだまだありますが。)

アグレッシブな戦略を次々と打ち出す近畿大学は、今後どんどん社会に対する影響力を強くしていくことは間違いないでしょう。
大学選びは、昭和時代に作られた総称を基準とするよりも、「今」の時代に合った戦略をとり続ける大学を選んだほうが学ぶものは多いでしょう。

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